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声劇用台本小説
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リカルナ=ベラフォルト(52)…男性。少々自分の力に酔っているところがあるが、それすらも許されそうなほどの力を持っている。渋い重低音の声は相手に威圧を与えるほどである。

弓塚 紗希(16)…女性。まだ子供。だが考え方はアリサより大人かもしれない…。年齢ゆえの考えの浅さもあるが、芯はしっかりしている。

アリサ=フォスフェート(27)…女性。病的なまでに白い肌を持つ。日光を浴びると溶けるらしく、日傘とクリームを常備している。駄々をこねたり我侭を言うなど、子供のような一面を見せることもあるが、薬物、毒物のことになると人が変わる…らしい。

コール、ナレーション…男女どちらでも可。上記の役の方が同時に勤めるのもあり。役名が記されていないセリフを担当。


 



暗闇の中、男の声が響き渡っていた。そこはまるで宇宙のような場所だった。はるかかなたにきらきらと星のようなものまで見える。

リカルナ:おいおいマジですか!?なぁんでこの俺があんな女子供の世話を…って局長!局長!!…っち…。

男は携帯電話のような銀色の物体を耳に当てて話していた。
リカルナ=ベラフォルト、52歳。世界管理局白兵No.3の実力者。人付き合いの不器用さでは間違いなくNo.1だろう。

紗希:女子供で悪かったわね。

弓塚 紗希、16歳。世界管理局最年少局員、白兵。実戦経験は無いが、すべてのテストをトップで通過、入局したエリート。
両腕と胸元に美しい真っ赤なタトゥーが入っている。

アリサ:私だってこんな仕事嫌よぉ。新しい薬の研究途中だったのに…あれが完成すれば私も世紀の大科学者の仲間入り―。

リカルナ:お前が作る薬品はどれも毒だろうに。悪名高き大科学者の仲間入りでもしてろ。

アリサ:なぁによ!私のどこが悪名高いのよ!

アリサ=フォスフェート、27歳。世界管理局薬品部部長。知らない薬草は存在しない、らしい。年相応の大人の色気を放ちつつ、それをすべて台無しにするほどのだらしない人間。
薬の字が絡むと人が変わったようにその才能を発揮する。人体実験を自身でしている。

紗希:ちょっと、痴話げんかは後にしてくれない?

リカルナ:(このクソがき…)

紗希:誰がクソがきよ!!

リカルナ:あー!もうわかったから!とっとといくぞ!…だから女子供は嫌なんだ…。

紗希:べぇー!

紗希は舌を出してリカルナにいったがもはや相手にする様子はない。

アリサ:どこまでいくの?

リカルナ:あそこに3層になってる世界があるだろう?あれだ。

アリサ:あそこって…なんか神とか悪魔とかいる世界じゃない?

リカルナ:詳しいな。

アリサ:あそこにはねぇ、いい毒草がたくさん…えへへ…

リカルナ:(…ほんとに心配になってきた…)

紗希:あそこで何か起こってるの?

リカルナ:あぁ、どうやらあの世界は上の層、真ん中の層、下の層にそれぞれの住人がいて、それぞれの世界が成り立ってあの大きなひとつの世界の均衡を保ってるらしい。
     本来三つの層が干渉しあわないのがあの世界の摂理だが、それに反して下層の住人が中層を攻めようとしている。おそらく俺たちと同じ、世界を渡る者 があの世界にいるものだと思われる。

紗希:…それって、何者なの?

リカルナ:お前はまだ聞かされてないのか、世界管理局の存在理由を。

リカルナ:世界管理局…無数に点在する個世界の外的影響による崩壊や消滅を防ぐ組織だ。本来すべての世界はその寿命を迎えるまで崩壊したりしない。だが時として今回のように、
     何らかの干渉により世界の均衡が崩れ、崩壊の危機に陥ることがある。それを阻止するのが俺たちだ。
     そしてその干渉をする連中だが、ご丁寧に「始祖」と名乗っている。非常に強力な神剣と呼ばれるものを扱う連中で、俺もなんどかやりあってる。
     俺たちは神剣なんてもんは持ってねぇ。お前の体にも宿ってるだろ?アレ が。

紗希:アレ‥か…。

両腕を強く握りながら紗希が険しい顔をした。

アリサ:女の子はそんな顔しちゃだめよ…?

先ほどとは違って母親のような微笑をたたえたアリサが紗希の頬にそっと手を当てた。

リカルナ:…そろそろ降りるぞ。俺たちは中層へ降りる。

リカルナに続いて紗希、アリサが三層世界に近づく。一定まで近づくと、世界の壁を越えて三層世界の中層に入った。
人目につかないように静かに山奥に降り立った3人の目の前では影がそのまま立ち上がったようななぞの物体が木と木の間をするする動いていた。

リカルナ:…おい、なんだありゃ…

いつの間にか日傘をさしたアリサが答える。

アリサ:悪魔ね。下層の生き物のはずよ?しかもあの型だとかなり低層の悪魔よ。

リカルナ:…街の様子は騒がしいわけではなかった。それにどう考えても攻撃をしてるようには思えん。偵察か何かか?

紗希:…リカルナ…あの子。

紗希が指をさすほうには非常に華奢な女の子が一人いた。そして影はその女の子をつけるようにそろそろと動いている。女の子は気づいている様子ではない。

リカルナ:どうやらあの子を見てるようだな…。目的がどうであれ、あの影が中層にいる時点で下層からの干渉と見受けていいだろう。すでにこの世界は狂い始めてる。排除するぞ。…紗希、お前やれるか?

紗希:わ、わたし!?

リカルナ:…なぜそんなに驚く…?アリサ、お前は周辺を一通りまわってほかに同じようなやつがいないか見てきてくれ。見つけた時はつぶせ。

アリサ:乱暴ねぇ…ま、きらいじゃないけど♪

リカルナ:俺は少し遠くまで見に行く。日が落ちるとき、再びここに集合だ。

紗希:わかったわ…。

リカルナとアリサがいなくなり、紗希は影を見ていた。

紗希:頼むから、あまり盛大にしないでね…。

紗希がそうつぶやくと首輪と猫耳帽子の鈴がかすかに音を立てた。しかしその音は山全体に響き渡るように強く鳴った。音に気づいた影は同時に紗希の存在にも気づき、その形が徐々に明確になっていく。
醜い姿だった。牛のような顔、ゴリラのような体、馬のような足、蛇のような尻尾、どこまでも黒い翼。先ほどの隠密状態とは違って3メートルほどの巨大な悪魔がそこにはいた。

悪魔:…。

紗希:た、戦うのは私じゃないわよ!

少しあわてたように紗希がそう言ったが言葉など通じているかすらわからない。やがて悪魔が猛然と突進してくる。
しかし紗希は逃げようとせず、そっと右腕を突き出した。

紗希:私相手だったら、話し合いで解決できたかもしれないのにね。

めんどくさそうにそう言うと右手の封印が光り始める。

紗希:開封!蒼き稲妻となって我が以下略!

意味不明なことを叫ぶと同時に悪魔が紗希の立っていた場所に突撃し、轟音とともに岩や木をなぎ倒した。
しかし紗希は平然と立っており、足元には無惨に八つ裂きにされた悪魔の亡骸があった。

紗希:詠唱、めんどくさいのよねぇ…ってか!派手にしすぎ!もっとスマートにできないわけ!?

紗希は自分の右腕に向かって文句を言った。しかし返事はない。

紗希:…これは後でお説教に違いないわ…。


周辺を調査していたアリサの目には先ほども見たようななぞの影。そして影の視線の先には少し露出度の高い服装を着た少女。体中にタトゥーがある。先ほどの少女同様に山奥を一人で歩いている。

アリサ:まぁまぁ…あんなかわいい子をつけまわすなんて…お仕置きが必要ね。

一人でそう呟くと悪魔に近づいた。かなり大胆に、ストレートに悪魔に歩いていく。アリサに気づいた悪魔は少し動揺しながらもやはりその姿を変えた。紗希が戦ったものと同じ形である。

アリサ:私に触れると、火傷するわよぉ?

悪魔が遠慮なくアリサに巨大な拳を叩きつける。
アリサは微動だにしない。ごく当たり前のように悪魔の攻撃を受けたアリサだったが、攻撃を受けたのは悪魔だった。
悪魔の腕が見る見るうちに溶けていく。

アリサ:火傷、ってレベルじゃないけどねぇ…。そこら辺の薬物なんかよりずっと強力よ?私の体。

悪魔はもがき苦しみながらその場に倒れこんだ。しかし体はどんどん溶けていく。やがて力尽きたのか、まったく動かなくなり、最後には若干の臓物と思われるグロテスクなものと骨が残った。
同時に、紗希のいる方向から爆発音が聞こえる。

アリサ:…紗希…!?


リカルナ:なかなか堂々と張ってやがるじゃねぇか。

リカルナは山を降り、街へ出た。全体を見渡せるよう、あるビルの屋上へ来たが、悪魔は空を飛んでいた。遠くから見ればただの鳥のようにしか見えない。

リカルナ:おーい!ちょっと遊ぼうぜ!

悪魔は街のほうからリカルナに視線を移した。悪魔は屋上へ降り立つと先の2体と違い、5メートルほどの巨大な姿に変わった。
体格的に人間が相手にするには余りに巨大すぎた。しかしリカルナの表情からは余裕を感じさせる笑みがこぼれていた。

リカルナ:俺好みじゃねぇか。いいぜ、殴り合いといこうじゃねぇか?

悪魔の拳が壁のようになってリカルナに押し寄せる。しかし…。

リカルナ:どうした?触ってるだけじゃ意味ないぜ?

拳はいとも簡単にとめられた。リカルナの人差し指によって。

リカルナ:見た目倒しかよ…殴り合いと言ったが、こらぁ一方的に殴るだけみてぇだな。

つまらなさそうにそう言うとすっと悪魔の顔の前まで跳び、腕を振った。
そのモーションからは想像もつかないほどの勢いで悪魔の顔が消し飛ぶ。

リカルナ:一方的に殴ることすらできなかったな…。


第二話「世界管理局」END

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